はじめてのテクニカル分析

用語集

売買高(ばいばいだか)
取引が成立した数量のことで、買い数量と売り数量の合計。株式であれば株数、先物であれば枚数。売り買い片方の場合を出来高(できだか)という。海外では、下降トレンドでは下降局面で売買高が増えるとされ、供給圧力を表していると考えられている。しかし、日本では上昇局面など先高期待がある場合だけ売買高が増え、下降局面では減少することが多い。従って、日本では売買高は需要圧力を表していると考えられる。
バーチャート
欧米で用いられるチャートのこと。1日の高値と安値を結んで縦線を引き、始値は縦線の左側に短い横線で表し、終値は縦線の右側に短い横線で表す。1900年代前半に考案された価格記録方法で、始値を省略することもある。欧米で投資の基礎となっているダウ理論が、終値を最も重要としているためかもしれない。しかし、バーチャートでは当日の騰落が分かりにくいので、世界的にローソク足が使われることが多くなっている。
半値戻し(はんねもどし)
大きな下落があった後、下げ幅の半分程度反発すること。「戻し」は反発を意味する。戻し幅によって1/3戻し、2/3戻しなどということもある。反対に大きな上昇の後、上昇幅の半分ほど下落することを「半値押し」という。「押し」は下落を意味する。1/3押し、2/3押しなどということもある。反動の比率として1/2、1/3、2/3が統計的に多いというわけではないが、その程度逆行すると達成感が生じるので目安とされることが多い。
日柄(ひがら)
経過日数のこと。急激な、あるいは大輻な上昇や下落が起こった後、平常の相場推移に戻る前に、相応の価格幅の反動があると同時に、相応の期間、揉み合う展開となることが多い。これを「日柄調整(ひがらちょうせい)」という。一説には、価格の反転で処分し損ねた建玉が、反対売買によって解消されるのに日数が掛かるからだといわれる。ただ、揉み合いが続く理由が分からないので、「日柄調整」と称して済ませていることもある。
ファンダメンタル分析(ふぁんだめんたるぶんせき)
価格変動要因や因果関係を追求して、そこから将来の価格推移を予想する分析方法のこと。直近の価格推移や需給関係の変化は考慮しない。例えば、株価は企業業績に連動することが多いので、企業業績の動向を正確に予測できれば将来価格の予想ができる。しかし、実際には企業業績の行く末を正しく予想することは不可能に近い。一般に、投資対象の選択に向いており、売買タイミングの判断には向いていないと考えられている。
フィボナッチ数列(ふぃぼなっちすうれつ)
イタリアのフィボナッチが発見した、最初の2数が0と1で、3番目以降は直前の2数の和となる数列のこと。0,1,1,2,3,5,8,13,21,34…となるが、1つ前の数を現在の数で割った値は常に0.61818…となり、これを黄金比という。また、2つ前の数を現在の数で割った値は、常に0.38181 …となり、1ー黄金比となる。自然界の比率に良く見られるとされ、価格推移における騰落日数の比やリトレースメントの目処として、海外で良く用いられる。
フォーメーション
価格推移の類型様式のこと。パターンともいう。日本では、古くは「形式」といわれたが、現在は英語を使うことが多い。フォーメーションには、その前後で騰落の方向が反転する「リバーサル」と、方向が継続する「コンティニュエーション」がある。ヘッド・アンド・ショルダーズなどは前者、三角保合などは後者とされるが例外もある。発生から終息までに要する期間は、前者は数ヶ月程度、後者は数週間程度のことが多い。
吹値(ふきね)
価格推移が揉み合いまたは下降基調にある中で一時的に価格が急騰する場面のこと。噴値とも書く。この場面で売ることを「吹値売り」という。上昇基調であれば、天井に接近するまで待って売るのが基本だが、上昇を期待して買ったものの思惑に反して揉み合う展開となり一向に上がる気配が見えないとなると、小さな吹値で手仕舞うことになる。苦労して手仕舞った途端、本格的な上昇が始まるなどということもあるので厄介である。
節目(ふしめ)
長期トレンドの途中で価格推移の反転によって生じる小さな山や谷のこと。節目は、結果的にトレンドの起点や終点となる大底や大天井となる場合もある。節目が直前の節目を継続的に上回っていれば上昇基調の確認指標となり、反対に継続的に下回っていれば下降基調の確認指標となる。また、継続的に上回っていたものが下回る、あるいは継続的に下回っていたものが上回るなどすれば、基調転換の予兆にもなる。
β(ベーた)
市場全体の投資収益率のこと。例えば株式であれば日経平均や東証株価指数(TOPIX)の投資収益率のことで、インデックス・ファンドで得られる投資収益率はβと一致する。アクティブ運用の投資収益率(α[あるふあ]という)を計るベンチマークとして用いられ、βを上回れば運用が優れていることを、下回っていれば劣っていることを示唆する。テクニカル分析やファンダメンタルズ分析は、βを上回ることを目指している。
ヘッジ
リスクを回避するためのポジションのこと。例えば、株価指数先物を買い建てた場合には、万が一の下落に備えて、少額で投資が可能で下落すると利益が出るプット・オプションを購入するなどが行われる。ヘッジ・ファンドは、本来は、複数の金融商品を組み合わせることで、リスクを限定して投資収益を得ることを狙ったファンドのことで、レバレッジを効かせたハイリスク・ハイリターンのファンドのことではない。
ポイント・アンド・フィギュア(Point and Figure、P&F)
1933年にビクトール・ド・ビリエが発表したチャートのこと。1940年代にA.W.コーエンが下降局面を〇、上昇局面を×で表す現在の形にした。価格が一定値幅動いたら〇または×印をつけ、その3倍分逆行したら行を変えて反転させ、それ以外の値動きは記録しない。日本の鉤足に発想が近い。大きな相場観測論で、使うのに慣れが必要なので日本ではあまり人気がないが、海外では現在も人気の高いチャートである。
ボラティリティ
価格推移の変動しやすさのこと。相場が乱高下して変動率の大きい状態が続くことを「ボラティリティが大きい」「ボラタイルである」といい、膠着して変動率の小さい状態が続くことを「ボラティリティが小さい」「ボラタイルでない」という。一般にボラティリティが大きいとリスクも大きく、ボラティリティが小さいと収益機会も小さいことが多い。従って、ボラティリティが小さい方が、投資対象として望ましいとは限らない。
ボリンジャーバンド
米国のジョン・ボリンジャーが1990年頃に発表したチャートのこと。過去一定期間の価格の標準偏差(σ・しぐま)を計算し、移動平均線に1σ、2σを加減したラインを引き、騰落の価格目処とする。揉み合い局面では士2σの間で往来するので士2σは逆張り目処に、強いトレンドが発生すると片側の2σラインを押し広げるように推移するので士2σは順張り目処となる。場面によって順張り、逆張りの使い方が変わるので注意が必要である。

※日本テクニカルアナリスト協会 「はじめの一歩 テクニカル分析 ハンドブック4(用語集)」より転載


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