はじめてのテクニカル分析

用語集

回帰(かいき)
特定の値もしくは位置に戻ること。例えば価格は移動平均から上に放れては戻り、移動平均を通り越して下に放れては戻るという動きを繰り返しており、常に移動平均に戻ろうとする。このように、ある値に戻ることを回帰するといい、このような性質があることを回帰性があるという。回帰性があると、回帰する値から大き<乖離すると反転が予想されるので投資に利用できる。この性質を利用して行う分析手法を回帰分析という。
価格帯別累積出来高(かかくたいべつるいせきできだか)
一定期間における売買高を価格帯別に集計して表示したチャートのこと。揉み合い相場や価格推移が転換する前後では売買高が多くなる傾向があり、未決済玉が蓄積されている可能性がある。そして、その価格帯を通過する時に未決済玉の解消が行われると、相応の期間、揉み合う展開に入ることが予想される。そこで、価格帯別に売買高を集計して、どの価格帯に売買高が集中していたかを知り、支持帯や抵抗帯として注目する。
鉤足(かぎあし)
江戸時代に考案されたチャートの1つ。価格が、それまでと同じ方向に一定の値幅動いたら縦線を伸ばし、逆方向に動いたら横線を引いて行を変え縦線を引く。決めた値幅未満の動きは無視する。比率や新値更新をルールにすることもある。横軸が時間軸で時間順に記録されるが、等間隔ではないので不規則時系列チャートに分類される。現在も、柴田罫線、田丸チャートとして利用者はいるが、あまり多くはない。
逆指値(ぎゃくさしね)
指定価格を上回ったら買う、指定価格を下回ったら売る注文のこと。普通の指値注文は、指定価格以下で買う、指定価格以上で売る注文だが、逆指値注文はその反対を行う。価格が判断基準を上回って上昇局面入りが確認できたら買う、基準を下回って下降局面入りが確認できたら空売りをする、あるいは思惑と反対方向に一定以上動いたら損失が拡大する前に手仕舞ってロスカットするといった注文を出したいときに用いる。
逆張り(ぎゃくばり)
価格推移が反転することを前提としたポジションを持つこと。反転しなければ利益が出ないので、現在の価格推移が続けば損失が膨らみ、リスクと心理的ストレスの大きい投資手法である。価格が天井をつける場面では、反落に転じてからでは投売りが殺到して売りポジションを作るのが難しいので、ヘッジファンドなど投機的な大口投資家が上昇している間に先回りして売りポジションを作ることがある。個人投資家向きの手法ではない。
金融工学(きんゆうこうがく)
金融機関が、資産運用やリスク管理などを合理的に行うための実践的方法論の総称。適切な投資戦略を企画立案するためには、リスクを考慮した投資収益率の計測、資産規模に応じたリスクの制御、適切な投資配分の管理などを合理的かつ定量的に行う必要がある。そこで、数学、統計学、計量経済学、物理学などを組み合わせて様々な管理方法が考案され、度重なるクラッシュを経験することで、より実用的に精緻化されている。
クォンツ
数学、統計学、計量経済学、物理学などを用いて、運用モデルを構築したりリスクの制御を行う金融専門家のこと。計量アナリストを意味する「Quantitative Analysts」の略。1970年代、アポロ計画の終了によりNASA(米航空宇宙局)が人員削減を行った際に、大量の科学者がウォール街に再就職し、新しい発想で相場に対峙したのが発端といわれる。このため、古くはロケット・サイエンティストと呼ばれた。
行動ファイナンス(こうどうふぁいなんす)
経済的な損得が絡んだ時の人間の心理変化や判断の行われ方を、学生実験などによって実際の人間行動を観察して定量的に研究する学問のこと。「Behavioral Finance」の訳語で、直訳すれば行動金融学だが、経済学というよりは心理学に近い。1990年代から発達し、利害が絡むと、人間が必ずしも合理的な判断や行動を取らないこと、人間が相場で損失を出しやすい心理傾向を持っていることなどが明らかになった。投資家の必修科目といえる。
高頻度売買(こうひんどばいばい、High Frequency Trade)
コンピュータを利用して極めて短い時間軸で継続的に行う自動売買手法のこと。証券取引所に発注された注文状況や価格変化を1/1000秒単位で監視し、コンピュータが条件判断をして、その時に有利な注文を発注すると同時に、過去の不利となった注文を取り消すことで利益を得ようとする仕組み。約定しないで取り消される注文が大量に増えたので、架空注文によって相場状況を誤認させる「見せ玉」に類似しているという批判もある。
効率的市場仮説(こうりつてきしじょうかせつ)
多数の投資家が参加する市場は効率的であり、価格インパクトのある情報も合理的かつ瞬時に価格に反映されるので、市場平均を上回る収益を得ることはできないとする学説。1990年前後に支持され、パッシブ運用の根拠とされた。しかし、すべての投資家が適切な投資判断を下すのであれば、売買はいずれか一方に偏るはずで取引は成り立たない。行動ファイナンスからも否定する結果が得られており、現在では支持者は少ない。
ゴールデンクロス(GC)
計算期間の短いテクニカル指標が、計算期間の長い同一指標を下から上へ突き抜けて、相場の上昇入りが示唆されること。英国の金融コンサルタント、ブライアン・マーバーが提唱したという。元々は、株式において75日移動平均線が200日移動平均線を下から上へ突き抜けることを意味したが、現在では日数の組み合わせに関係なく、また移動平均線以外でも使われる。クロス後、トレンドがいつも長期間続くなら、収益が得られるのだが。

※日本テクニカルアナリスト協会 「はじめの一歩 テクニカル分析 ハンドブック4(用語集)」より転載


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