伝説の投資家ウォーレン・バフェットが経営する「バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)」の株主総会に参加しました!シリーズ第2弾の本コンテンツでは、株主からの質問に対しバフェットと共同経営者であるチャーリー・マンガーがどのように答えたのか、その回答内容の一部をご紹介します。ウォーレン・バフェットはとある銘柄について「株価が下がると嬉しい、だって......」とその理由を明かしました。
本コンテンツは情報提供が目的であり、投資その他の行動を勧誘する、あるいは、コンテンツ中の個別銘柄を勧誘、推奨するものではございません。また、過去の実績は将来の投資成果を保証するものではありません。銘柄の選択などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断にてお願いいたします。
株主との質疑応答とは?
バークシャー・ハサウェイの株主総会では、毎年長時間にわたってウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーが株主からの質問に回答します。約6時間と総会の中で最も時間が割かれたパートであり、株主たちはこれを聞きに総会に参加していると言っても過言ではありません。
※本コンテンツでは株主からの質問に対するバフェットとマンガーの回答を要約しマネックス証券が和訳しています。回答の主旨を変更しないよう和訳には万全を期しておりますが、その正確性を保証するものではありません。
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)
1930年8月30日生まれの87歳(2018年5月時点)。米国のネブラスカ州オマハ出身で、投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務める。伝説的な投資成績によって莫大な資産を築いているにも関わらず、謙虚な人柄や質素な生活を送っていることから「オマハの賢人」とも呼ばれる。
チャーリー・マンガー(Charlie Munger)
1924年1月1日生まれの94歳(2018年5月時点)。バフェットと同じくオマハ出身で、若かりし頃にバフェットと出会って意気投合し、バークシャー・ハサウェイの共同経営者を務めるようになる。
イントロダクション-米国株長期投資のススメ-
バフェット:まず最初に私についての話をしましょう。私は1942年に「シティサービス」という銘柄をウォッチしていました。前年に84ドルだった同社の株価は1942年のはじめには55ドル、3月には40ドルまで下落していました。私は父親に「シティサービスを3株買いたい」と伝えました。私が当時持っていた全額です。たった11歳の時でした。父は私の代わりに38.25ドルでその株を買ってくれました。その後株価は27ドルまで下がった後、40ドルまで上昇したところで私は売却して計5.25ドルのわずかな利益を得ました。
同じ時期に米国株のインデックスファンドに投資したとします。もし1942年に10,000ドルを投資していたら、それは今では5100万ドルの価値になっています。会計学を理解する必要もなく、相場を見る必要もなく、上がりそうな銘柄を探す必要もなく、米国が困難を乗り越えて成長していくということだけをわかっていればよかったのです。
同じ時期にゴールドを10,000ドル購入していたら現在400,000ドルの価値になっています。米国株への投資はゴールドへの投資より100倍以上の価値があったのです。会計学も、専門用語も学ぶ必要はなく、中央銀行が何をしているかも知る必要はありません。哲学的な問題であり、どうやってやろうか問うことすら忘れてしまえばいいのです。
ダウ平均の推移(1942年~)
(出所)Bloombergデータよりマネックス証券作成
米国についての見通しなど
質問:米国と中国の貿易戦争の影響は?
バフェット:米国と中国は今後も超大国であり続けるでしょう。そして両国は多くの共通の関心事項を持っており、時には緊張状態になることもあるでしょう。ただ世界中が自由貿易を行うメリットが大きいことは明白であり、世界の反映を犠牲にしてはなりません。ただ、米国と中国は本格的な貿易戦争に突入するほど愚かではないでしょう。
質問:米国の政治的分裂は今までよりも深刻でしょうか?
バフェット:今までにもっと深刻な分裂が起きたことがあったと思います。1942年以来14人の大統領が誕生し、7人は共和党、7人は民主党でした。暗殺された人もいれば、辞職した人もいました。我々は景気後退、戦争、パニック、危機など様々な経験をしてきましたが、それを乗り越えて米国は本当に前進しました。我々はいつもたくさんの不平を言い、「この選挙後に世界はおしまいだ」なんて言ったりもしました。この国で、一人あたりGDPが16倍に成長したことを私は見てきました。驚くべき国です。私はまた、この国に生まれたいなぁと思うんです。
マンガー:私達は今の政治家は過去の政治家よりもさらにひどいと思ってしまう傾向がありますが、過去の政治家がどれほどひどかったかを忘れてしまいがちです。私は、ネブラスカの有名な議員が、どうやったら平凡な人が上院で代表権を持たないようにできるかを議論していたのをよく覚えています。
質問:10億ドルあったら何に投資しますか?新興国投資を増やしますか?
バフェット:まずはまだまだチャンスがありそうな米国の中で探すでしょうね。ただ新興国を除外することはありません。かつては小さな韓国企業の株を楽しみに持っていました。10億ドルあったら、まずは米国内とおそらくもういくつかの国を探しますが、とても小さな市場には投資しないと思います。サイズの問題で、地理が問題なのではありません。
マンガー:私はすでにあなた(質問した株主)よりも投資割合として多くの中国企業の株を持っていますよ。中国は狩りができる場所(銘柄を探せる場所)だと思います。中国は若い市場ですが、それでもなお大きい市場です。
各種個別銘柄について
質問:アップル(AAPL)の100億ドルの自社株買いについてどう考えていますか?
バフェット:100億ドルは多額のお金です。かつてはそう思っていました。みなさんは、私よりも理解していると思いますが、アップルは、信じられないほどの消費者製品を持っています。私は彼らにとって魅力的な買収対象がたくさんあるとは思っていません。50-200億ドルの範囲で彼らにとって魅力的な買収案件を見つけるのはとても難しく、我々は、喜んで自社株買いを行うのを見守っています。
我々は今アップル株の5%を保有しており、自社株買い後は6-7%に届くかもしれません。アップル製品は素晴らしい製品で素晴らしいエコシステムです。アップルは、超越した製品や、とてつもなく大きなエコシステムをもって、極めて粘り強くならなければなりません。私は、アップルの価格が下がっていくのを見るのが好きです。だってもっとたくさん買えるんだから。(アップル経営者の)ティム・クックは、とても単純な算数ができるし、自社株買いをするか、配当を支払うか、会社を買うかどれにするかという、複雑な算数もできます。
マンガー:多くの会社は自社株買いをするよりも上手に自分たちの現金を利用することができません。でも私はすべての自社株買いを認めているわけではありません。株価を維持するために、自社株買いをする人もいるが、それは頭がおかしいし、道徳に反します。それ以外だったら、OKです。
アップルの業績推移
(出所)Bloombergデータよりマネックス証券作成
アップルの株価推移(2011年1月~)
(出所)Bloombergデータよりマネックス証券作成
質問:どうしてマイクロソフト(MSFT)の株を購入してこなかったのですか?
バフェット:まず以前は我々が愚かだったから、というのが答えです。しかしビル・ゲイツがバークシャーの取締役に就任した後は親交が深まるにつれてマイクロソフトの株を買うことは間違いのもとになり得ました。もし何かが起きたら、我々はインサイダー情報を知っていたのでは、との批判にさらされることになったかもしれません。(運用担当者の)テッドとトッドには少しだけ投資してはいけない銘柄を伝えてあります。
質問:ウェルズ・ファーゴ(WFC)が起こしたスキャンダルについてどう考えていますか?
バフェット:ウェルズ・ファーゴはインセンティブの効能、そして間違ったインセンティブ制度を取っていたことを証明しました。しかしそれより遥かに大きな過ちは欠陥のあるインセンティブ制度があるという事実を無視したことです。バークシャー・ハサウェイの大罪は、それを知ってから何もすることができなかったことです。ウェルズ・ファーゴの387,000人の従業員すべてをベンジャミン・フランクリンのように規律正しく行動させることはできません。はっきりしていることは、何が起こっているか判明したときにしっかりと対応しないといけないということです。それが重要です。
ウェルズ・ファーゴとソロモンブラザーズはそれをしませんでした。過去にアメックスにもガイコにも問題は起こりました。どちらの会社もどん底から浮上し、信じられないほど強くなって帰ってきました。投資の観点からもモラルの観点からも、ウェルズ・ファーゴだけが他よりも劣っていると考えられる理由が見当たりません。彼らは大きな過ちを犯しました。とても大きな代償です。私は、投資対象としてウェルズ・ファーゴが好きです。CEOのティムスローンも気に入っています。
マンガー:ウェルズ・ファーゴはどんどん良くなっていくでしょう。たしかに、どうみても過ちを犯しましたが、彼らは強くその問題を認識しとても恥じており、もう二度と問題を起こしたくないと考えています。彼らは、将来、すべての銀行の中で一番素晴らしい振る舞いをする銀行になると思います。
ウェルズ・ファーゴの業績推移
(出所)Bloombergデータよりマネックス証券作成
ウェルズ・ファーゴの株価推移(2011年1月~)
(出所)Bloombergデータよりマネックス証券作成
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