銘柄選びでは「どの情報を信じればいいか?」と悩みがちですが、実は情報収集には押さえておきたいコツがあります。
今回は、資産5億円超えのママ投資家ちょる子氏が、無数の情報から「使う情報」と「捨てる情報」を見極める選別術を解説します。
自分で納得のいく投資判断を下すヒントとしてぜひご覧ください。
▼ ちょる子氏ご本人の生の声を聞きたい方は動画で!
本記事は、マネックス証券公式YouTubeで公開中の対談動画からエッセンスを抽出し、ちょる子氏ご本人にコラムとして執筆していただいたものです。
ちょる子氏の実際の語り口や、記事には収まりきらなかったリアルなエピソード(1年間株を買わずに観察し続けた体験談など)も楽しみたい方は、ぜひ以下の動画もあわせてご覧ください。
あふれる情報に振り回されないための第一歩
こんにちは。ママ投資家のちょる子です。
前回のコラムでは、「銘柄を買う前に、まず自分の人生のゴールを決めよう」というお話をしました。
「何のために投資をするのか」
「いつまでに、いくら必要なのか」
ここが決まって、初めて「では、どんな投資をすればいい?」という問いが生まれます。
そして、いざ銘柄を探し始めると、今度は初心者が必ずぶつかる大きな壁があります。それは、「情報が多すぎる」という問題です。
テレビ、新聞、証券会社のレポート、投資雑誌、X(旧Twitter)、YouTube、ニュースサイト、掲示板、そして最近ではAI。
「この株は買い」
「いや、割高だから売り」
「この会社は10倍になる」
「いや、危ない」
毎日、スマホを開くたびに無数の情報が飛び交っています。では、その中から何を信じればよいのでしょうか?

私は、投資で本当に大切なのは「情報をたくさん集めること」ではなく、「情報を、自分で選別する力を身につけること」だと思っています。
今回は、私自身がこれまで投資をしてきた中で、どんな情報を見て、どんな情報を捨ててきたのか。そして、SNSやAIが当たり前になった今、どうやって情報と付き合えばよいのかをお話しします。
投資雑誌の情報は本当に正しい?
投資を本格的に勉強し始めた頃、私も当然、「何を買えばいいんだろう?」と悩みました。そこで最初に手に取ったのが、『日経マネー(日経BP)』や『ダイヤモンドZai(ダイヤモンド社)』といった投資雑誌でした。
雑誌を開けば、たくさんの銘柄が紹介されています。そこには「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」といったプロの評価が並んでおり、当時の私は、当然「買い」や「強気」と書かれている銘柄が気になりました。
でも、ここで私は、すぐには買いませんでした。
むしろ、1年間、ほとんど1株も買わずに観察を続けたのです。

1年間株を買わずに毎日観察して分かったこと
気になった銘柄をExcelのガントチャートにリストアップして、「今日の株価はいくらで引けたか」「PERはどう変化したか」「配当利回りは何%になったか」などを毎日記録していきました。
今思えば、かなり地味で泥臭い作業です(笑)。
でも、この1年間が、私にとってものすごく大きな意味を持ちました。なぜなら、「人からおすすめされた銘柄」と「実際に自分が見て感じたこと」の違いがはっきりと分かるようになったからです。
- 「買い」と言われているのに株価が下がる。
- 「割高」と言われているのにスルスル上がる。
- 良い決算なのに売られる。
- 悪そうなニュースが出たのに、なぜか株価は上がる。
こうした市場のリアルな動きを繰り返して見ることで、少しずつ「情報をそのまま信じてはいけない」という投資の本質が分かってきました。
私が情報より先に見る3つの視点
投資情報を見るとき、私は大きく3つに分けて整理しています。これを意識するだけで、情報に振り回されにくくなります。
- ① 事実
会社が実際に発表した、嘘偽りのない数字や情報です。
- 決算・業績・配当・財務状況
- 中期経営計画・適時開示・有価証券報告書
これらは、すべての投資判断の土台になります。
- ② 市場の反応
その「事実」を、市場(投資家たち)がどう受け止めたのか。
決算が良かったのに、株価は下がった。逆に、決算はそれほど良くないのに株価は上がった。私は、事実と市場心理(センチメント)とのズレに注目します。 - ③ 誰かの意見
SNSには「この株は買い」「絶対上がる」「テンバガー候補」といった発信が無数にあります。もちろん参考になることもありますが、意見は「事実」とは別物です。ここを混同しないことが、とても重要です。

「この株は上がりそう」は情報ではなく意見
SNSを見ていると、「この株、絶対来る!」「まだ誰も気づいていない超優良株!」といった威勢の良い投稿が流れてきます。
ただし、私はそれをそのまま投資判断には使いません。
なぜなら、その人が「買い」と言っている理由と、自分が株を買う理由は全く別だからです。
例えば、「この会社はAI関連だから上がる」という投稿があったとします。「なるほど、AIだから買おう」で終わってはいけません。
- そもそも、この会社はAIで何をしているの?
- その事業は、会社の売上や利益にどれくらい貢献している?
- 今の株価は、その成長をどこまで織り込んでいる?
上記のように、一つずつ自分の中で確認します。
つまり、SNSは答えをもらう場所ではなく、「調べるきっかけ」をもらう場所なのです。
そう考えると、SNSとの付き合い方はかなり健全なものに変わります。
私がSNSを見る目的は市場心理の確認
では、SNSをまったく見ないのかといえば、そんなことはありません。むしろ私はX(旧Twitter)などを日常的にチェックします。
ただし、見ているのは「この人の言っていることが正しいか」ではありません。
- 今、市場では何が話題になっているのか
- 投資家は、この決算をどう受け止めているのか
- 今、どんなテーマに資金が集まっているのか

こうした市場の空気(センチメント)を見るためです。
ある企業が予想を上回る決算を発表しても、市場が「もっと良い数字」を期待していれば株価は下がります。「良い決算かどうか」と「株価が上がるかどうか」は、必ずしもイコールではありません。
私は、こうした市場と数字のズレを測る「温度計」としてSNSを使っています。
一次情報と誰かの解説を混ぜてはいけない
ここからが、私が一番伝えたいところです。
情報を見るときは、「これは誰かの解釈なのか、それとも事実なのか?」を必ず分けて考えてみてください。
- ○○社の利益が2倍になった(事実)
- だから業績は好調だ(解釈)
- だから今の株価は割安で、絶好の買い場だ(判断)
この3つは、似ているようでまったく違います。ニュースを読んだときも、「会社は何と言っている?」「実際の数字はどうなっている?」「市場はどう反応した?」「それを見て、自分はどう考える?」と、一段ずつ分けて考える。
これだけで、他人の声に振り回されることは劇的に減ります。
私がIR資料だけでなく採用ページを見る理由
企業について調べるとき、IR資料は当然重要です。でも、私はそれだけではなく、その会社の「採用ページ」や、OpenWorkなどの「社員の口コミサイト」も見にいきます。
なぜか。企業の数字には、会社のすべてが表れているわけではないからです。
- 今、どんな人材を求めて採用活動をしているのか
- 会社がどんな未来のビジョンを描いているのか
- 現場で働く社員は、待遇や会社に対してどう感じているのか

大切なのは、一つの情報を信じることではなく、複数の情報を照らし合わせること。
IRではこう言っている。採用ページではこういう技術者を募集している。現場からはこういう声がある。業績はこう推移している。
こうやって情報を何枚も重ねていくと、少しずつその企業の「本当の輪郭」が見えてくるのです。
AIは調べる力を劇的に上げるが判断は任せない
そして、今の投資で絶対に無視できないのがAIです。私自身も、日々の情報収集にChatGPTなどを活用しています。
海外の経済ニュースを要約させたり、英語の一次資料を日本語で理解したり、半導体業界の複雑な構造を整理させたりするのに、AIは本当に便利です。以前なら何時間もかかっていた調査が、ほんの数分で終わります。
ただし、一つだけ絶対に忘れてはいけないルールがあります。それは、AIはもっともらしい嘘をつくことがあるということです。存在しないニュースや関連銘柄を、自信満々に回答してくることがあります。
だから私は、AIに答えを出してもらうのではなく、調べるための補助ツールとして使うことを徹底しています。AIがまとめたポイントを見て、「その情報の一次ソースは?」「会社のIRではどう発表されている?」と、最終的には必ず自分の目で確かめる。AIが優秀になればなるほど、投資家はこの裏取りの作業が重要になってきます。
分からないものには投資しないのが最大の防御
投資の世界では、「よく分からないけれど、すごく上がりそう」という場面がたくさんあります。AI、半導体、宇宙、防衛、暗号資産……次々と新しいテーマが登場し、「これから絶対伸びる!」と煽られると、つい乗りたくなるかもしれません。
でも、私は「自分が理解できないビジネスには投資しない」というルールを固く守っています。

すべてを完璧に理解する必要はありません。
でも、「この会社は何で儲けているのか」「今後、何が成長のドライバーになるのか」「その成長にはどんなリスクがあるのか」くらいは、自分の言葉で説明できる状態にしておきたい。
なぜなら、理解していない銘柄が下がったとき、人は簡単にパニックになるからです。
逆に、自分なりに根拠を持って買った銘柄なら、株価が急落しても「なぜ買ったのか」という原点に立ち返り、冷静に対処することができます。
買う理由だけではなく売る理由まで考える
もう一つおすすめしたいのが、「この株を買う理由」だけでなく、「この株を売る理由(出口戦略)」も最初に考えておくことです。
「業績が伸びると思ったから買う」のであれば、「業績が伸びなくなったら(成長が止まったら)どうする?」まで考える。
「割安だと思ったから買う」のであれば、「何が起きたら、自分の『割安』という判断が間違いだったと認めて損切りする?」まで考える。
投資では、買う瞬間よりも、その後どう判断して手放すかのほうが圧倒的に難しいのです。
情報収集のゴールは詳しくなることではない
投資に熱中すると、つい「情報収集」そのものが目的になってしまいがちです。
朝からニュースを見る。SNSを見る。決算を見る。YouTubeを見る。そしてまた別の情報を探す……。
でも、情報を100個集めたからといって、投資の勝率が100倍になるわけではありません。むしろ情報が多すぎることで、自分の判断軸がブレてしまうことのほうが多いはずです。
情報収集のゴールは「物知りになること」ではなく、「自分の判断を作ること」です。
投資で一番怖いのは、知識がないことではありません。
「誰かがそう言っていたから」と、自分で考えずに大切なお金を投じてしまうことです。
- 有名なインフルエンサーが言っていた
- YouTubeで紹介されていた
- AIが「有望」と言っていた
- 雑誌に「買い」と書いてあった
情報は、あくまで情報です。最後に判断するのは、あなた自身です。
だからこそ、「信じる情報」と「捨てる情報」の基準を最初から自分の中に持っておくことが大切です。

「誰かのおすすめ銘柄」を探し回る投資家ではなく、「なぜこの銘柄を買うのか」を自分の言葉で説明できる投資家になる。
それが、情報があふれるSNS・AI時代だからこそ、長く生き残るための最強の武器になります。
もしこれから、「この情報、本当に信じていいのかな?」と迷ったら、一度だけ立ち止まってみてください。
「これは事実? それとも、誰かの意見?」
この一言を自分に問いかけるだけで、投資の世界の見え方はきっと大きく変わるはずです。
個人投資家
ちょる子 氏
個人投資家、ママ投資家。2011年頃に株主優待を目的に投資をスタートし、育休期間を利用したデイトレードで大きく資産を拡大。現在は仕事(PRや不動産関連の事業を展開)と両立しながら、相場環境に合わせたスイングトレードを実践。Xなどでも積極的に情報発信を行っている。2026年5月に初の著書『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』(ダイヤモンド社)を出版。


