2024年1月1日から、相続税および贈与税の税制が改正されました。ここでは、改正前の2023年12月に開催した二夜連続オンラインセミナー「どうする相続年末スペシャル~制度変更で相続税対策をどうする~」にて、お客様より頂戴した質問と、講師の税理士 金澤毅仁氏の回答を紹介いたします。
相続時精算課税制度についてのご質問を多くいただいておりますので、相続税対策に関心をお持ちの方は是非ご覧ください。
講師紹介
税理士
金澤 毅仁 氏
都内会計事務所を経て、平成 23年朝日税理士法人入社。
上場企業、中堅企業の法人税務業務に従事したのち、相続税、贈与税、譲渡所得税等の個人の税を扱う資産税専門チーム創設に伴い、その立ち上げ期から関わる。
現在は資産税部門マネジャーとして相続税申告、遺言作成をはじめとする相続対策等多数の相続案件に関与している。
暦年課税、相続時精算課税制度に関する質問と回答を公開
- 基本的な質問で恐縮ですが、相続税と贈与税は基本どちらが負担が大きいのでしょうか?
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贈与税は相続税の補完税と言われています。相続なのか、贈与なのか、仮に同額の財産が次の世代に一度に移転すると考えた場合には、一般的に贈与税の負担の方が大きくなると考えられます(暦年課税制度を前提)。
- 暦年課税制度により、孫や子の配偶者に贈与したものも相続財産に加算されるのでしょうか?
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相続開始前7年間の暦年贈与が相続財産に加算される対象となるのは、相続人に対する贈与のみとなります。そのため、孫や子の配偶者が相続人とならない場合、加算の対象とはなりません。
- 相続時精算課税制度を利用した場合、2500万円以下なら贈与税が発生しないと考えてよろしいのでしょうか。
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基礎控除額(110万円)を超過して贈与を受けた金額が累計2500万円に達するまで贈与税は生じません。
- 相続時精算課税を採用したときは毎年申告が必要ですか?
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基礎控除額(110万円)を超えて贈与を受けた年に限り申告が必要となります。
- 相続時精算課税を申請するのは、財産を渡す人でしょうか?財産を受け取る人でしょうか?
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財産を受け取る人となります。
- 相続時精算課税制度をつかって、孫や息子の配偶者にも贈与できますか?
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相続時精算課税制度の適用ができる受贈者は、贈与者の直系卑属に限られます。従って孫(18歳以上)は適用の対象となりますが、子の配偶者は対象となりません。
- すでに暦年課税を受けている者が相続時精算課税制度に変更することが出来ますか?変更出来た場合に今まで行ってきた暦年贈与の扱いはどうなりますか?
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暦年課税制度の適用を受けたことのある方が、相続時精算課税制度の選択をすることは可能です。
なお相続時精算課税が選択された場合であっても、相続開始前7年間の暦年贈与の適用を受けた贈与財産は相続財産に加算する必要があります。
- 例えば、父親からは相続時精算課税贈与で年110万円、母親からは暦年贈与で年110万円、他に贈与を受ける金額がないとすると年220万円まで贈与税ゼロで贈与が可能ということですか?
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はい、そのご理解のとおりです。
- 一人の者が、複数の者に相続時精算課税制度を利用して贈与するとき、基礎控除は受取人ごとに適用がありますか?
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受取人ごとに年間110万円の基礎控除があります。
- 110万ずつ贈与するのであれば今後は相続時精算課税を選択したほうが良さそうですが、選択したことによるデメリットは何かあるでしょうか。
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相続時精算課税制度を利用して贈与した財産の価額が相続時に下落しても、相続の際には原則として贈与時の価額で精算する必要があります。
- 相続時精算課税より暦年贈与の方が有利になる(節税になる)のは、どのようなケースでしょうか。
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一概に有利不利を分けることは難しく、相続税対策をされる方の年齢、ご家族構成により判断が変わるものと考えられます。
- 相続時精算課税制度を利用すると、相続した土地について小規模宅地の減額特例の適用が受けられないのでしょうか?
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相続時精算課税制度を適用して生前贈与した土地については、小規模宅地の特例の適用は受けられません。なお、生前贈与しないで相続した土地の場合は、要件を充足していれば適用は受けられます。
- 相続時精算課税制度の適用を受けたい場合、相続時精算課税選択届出書(以下届出書)はいつまでに税務署に提出すればよろしいでしょうか?
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相続時精算課税制度を初めて選択する年の贈与が基礎控除(110万円)以下の場合は、贈与税の申告書は不要で、届出書のみを翌年2月1日から3月15日までに提出する必要があります。
基礎控除を超え贈与税の申告書を提出する必要のある時は、申告書に届出書を添付し、翌年2月1日から3月15日までに提出する必要があります。
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