2024年5月4日に開催された、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」の株主総会に、マネックス証券の米国株担当者が参加しました。その様子をシリーズ化してお届けします。今回はDay2の株主総会本番の様子を特集します。
株主総会 Day1の様子はこちら!
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの株主総会の様子(Day1)をお届け
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2日目 株主総会当日
2日目はバフェット氏の報告や株主からのQ&Aセッションを行う本番の日です。
アリーナの席は早い者勝ちなので、良い席に座るために早朝から株主たちは会場入り口で開場を待ちます。今年もAM4:00の時点ですでに多くの株主が並んでました。
同じ列に並んでいた株主にインタビューしました
ドイツから参加の株主
- -株主総会には何回目の参加ですか?
- 2回目です。初めて参加する友人と一緒に来ました。
- -いつから株式を保有されていますか?
- 父の株を相続しました。なので結構前から親しみがあります。
- -バフェット氏はドイツでも有名ですか?
- もちろんです。前回は2019年の総会に参加したのですが、会場をカートで移動するバフェット氏を見かけました!その写真は宝物です!
香港から参加の株主
- -株主総会には何回目の参加ですか?
- もう何回も出席しています。
- -すごいですね。きっかけはありますか?
- 私はコロンビア大学に通っていたのですが、学生のころから先輩(バフェット氏のこと)を知っていたのでバークシャーに投資しました。
- -バフェット氏についてどう思いますか?
- 彼は天才だと思います!もっとも尊敬できる人物の一人ですね。
いよいよ開場!
開場と同時に株主たちが一斉に施設内に流れ込みました。良い席を取るために早歩きでアリーナに向かいました。当日はAM7:00に開場、AM8:45に開会(ムービーの上映開始)というスケジュールでした。
著名ゲストも続々と到着
私たちはステージに向かって左手の1段目に席を確保しました。株主たちで2階席まで席が埋まりはじめ、それぞれ開会を待ちます。
アリーナの中央のゲスト席にビル・ゲイツ氏やApple社のティム・クックCEOの姿がありました。総会直前にバークシャー・ハサウェイがアップル株を一部売却したことが報じられ、会場のクック氏がスクリーンに投影されたりもしました。
AM8:45のムービーは例年コメディタッチの題材になることが多いそうなのですが、今回は昨年亡くなったチャーリー・マンガー氏を偲ぶ内容でした。バフェット氏とのマンガー氏の出会いから過去のインタビュー、過去の株主総会のハイライトがまとめられ、会場からは笑いが出る場面もありました。
バフェット氏の発言をピックアップ
現在93歳のバフェット氏ですが、約5時間以上もQ&Aセッションで株主からの質問に回答していました。部分的ではありますが、バフェット氏の発言内容と関連する米国株銘柄についてご紹介いたします。
アップル株を売却した理由
これはアップル(AAPL)に対する評価からそのポジションを減らしたのではなく、税制に対する考えによる行動であったとのことです。財政赤字が増える米国において、税率が上がる可能性を考慮しているようです。
また、株主からの質問ではアメリカン・エキスプレス(AXP)やコカ・コーラ(KO)と対比してアップルの長期的な価値に対する懸念があったのかと問われ、そうではないと発言しました。
バフェット氏「我々はデイリー・クイーン(※子会社のアイスクリーム企業)や、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスの株を所有していますが、それらを事業として見ています。
株を事業として捉え、市場が教えてくれるものではなく、指導してくれるものでもなく、自分に奉仕してくれるものとして扱えば、時間が経つにつれてもっとうまくいくようになります。
これが、我々がアメリカン・エキスプレスという素晴らしい事業を所有し、コカ・コーラという素晴らしい事業を所有し、アップルというさらに素晴らしい事業を所有している理由の一部です。
何か劇的なことが起こって資本配分戦略が大きく変わらない限り、アップルは我々の最大の投資先のままでしょう。」
バフェット氏退任後について
株主総会にバフェット氏と同席していたグレッグ・アベル氏はバフェット氏の後継者に指名されています。バフェット氏はアベル氏が現在の事業や資本についてよく理解しているとしたうえで、バークシャーが持つ大きな資金を戦略的に扱う能力があると評価しました。
バフェット氏「2008年や2009年のような状況が再び起こる場合、今回はよりうまく対処できる自信があります。しかし、2008年や2009年と全く同じ状況にはならないことは確かです。ただし、大きな金額を非常に迅速に利用できることが必要になる時は来るでしょう。それは5年に一度かもしれませんし、10年に一度かもしれません。世界がますます高度化し、複雑化し、相互に絡み合うほど、問題が発生する可能性も高まります。
何かが起こった時に行動できるようにしたいものです。そして、CEOは誰も動こうとしない時に、ビジネスの買収や株式の購入、その他様々なことを判断できる人であるべきだと思います。」
アベル氏「どのような移行を経ても、今日バークシャーが遵守している資本配分の考え方は生き続けるということです。これが私が伝えたいことです。
常に余剰現金を最も安全な投資である米国債に投資し、バランスシートを強固に保ち続けます。これには2つ理由があります。1つは行動するため、もう1つは株主を常に保護するためです。バークシャーの現在のポジションを維持したいと考えています。」
バフェット氏「過去にうまくいったことをやめず、流行に惑わされず、株主の利益とは異なる利害を持つ人々の言うことに耳を貸さなければ、まともな結果を得るのは比較的簡単なはずです。」
ここまでバフェット氏のアップルに対する考えと後継者についての発言を取り上げました。次回はQ&Aセッションでのほかの発言や、番外編としてバフェット氏に所縁のある場所をご紹介したいと思います。お楽しみに。
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