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【第3回】金投資を知る!金におすすめの投資方法

資産を保全するために「金の積立投資」をおすすめする理由

金投資の魅力をお届けするため、コモディティ市場に詳しい江守哲氏(エモリファンドマネジメント株式会社 代表取締役)に「金におすすめの投資方法」について解説していただきました。ぜひ最後までお読みください。

【第1回】金投資を知る 金の歴史と価値とは?

【第2回】金投資を知る 金に注目する理由

エモリファンドマネジメント株式会社 代表取締役

江守 哲(えもり てつ) 氏

大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に『LME(ロンドン金属取引所)入門』(総合法令出版)など
共著に『コモディティ市場と投資戦略』(勁草書房)

金投資にどう向き合うべきか

おすすめは短期よりも長期

金投資を行う際にまず考えたいことは、「金は相場商品である」ということである。金は日々市場で取引され、価格は頻繁に変動している。そのため、将来の見通しや投資の判断が正しかったとしても、投資のタイミングを間違えると損失が出る可能性もある。プロの投機家は、金価格の変動を利用して、短期的な取引を繰り返して利ざやを稼ぎ出すことを目的に金を売買している。しかし、このような金の利用方法は、個人投資家には困難であり、意味はないだろう。一般投資家にとって金はあくまでも長期的に保有する資産であり、資産を保全するためのものである。この点をまず理解しておく必要がある。

ベストを狙うことは難しい

投資家は金を保有するには、いずれかの価格で買わなければならない。できれば安い価格で買いたいというのが投資家心理である。しかし、そのような安値を予想して、当てることは不可能である。つまり、「投資のタイミングを計るのは難しい」ということである。安値で買うには、下がっているときに買うのが得策なのだが、底値を予想することは難しい。また、価格が上がり続けると、買いそびれてしまう可能性もある。このように、購入のタイミングを計るのはきわめて困難なのだが、価格動向を見ていては、いつまでも買うことはできないということになる。保有すること自体が目的である金を、いつまでも購入タイミングを計っていたのでは、まさに「本末転倒」である。

積立投資でベストではなくベターを目指す

このような事態を避ける良い方法がある。それは「積立投資」である。いうまでもなく、金価格は日々上昇したり、下落したりする。また、日本で取引される円建て金価格は、ドル建て金価格の変動に連動するだけでなく、為替相場の変動の影響も受ける。そのため、価格変動を正確に予測することは不可能である。実際に、購入した翌日に価格が上がることもあれば、逆に下がることもある。また、購入しようとして安値を待っているうちに、上がり続けることもあれば、購入した後に価格が下がり続けることもある。価格の上昇と下落の可能性はどちらもあるため、目先の値動きを追いかけてもほとんど意味がないというわけである。そのような価格の見極めに時間を取られていると、日々の生活や精神面にも影響が出てくる可能性もあるだろう。

金・プラチナ・銀のお取引の詳細

大きく損をしない2つのポイント

コツは集中させないこと

そもそも、自分が購入したい価格で金を買えることはほとんどないというのが実態である。金価格が日々変動しているのだから、それは当然である。このような値動きに一喜一憂しないためには、「金価格の予測は不可能」「価格は市場が決める」と割り切ることが肝要である。そのうえで、金価格が変動しても、保有する金の資産価値が大きく目減りしない方法を検討すべきであろう。価格変動のリスクを回避する方法には、「分散投資」という考え方がある。分散投資には、二つの考え方がある。ひとつは「金を購入するタイミングを分散する」という考え方である。もうひとつは「購入する資産を分散する」という考え方である。

ポイント①金を購入するタイミングを分散する

まず、「金を購入するタイミングを分散する」という点については、金を購入する時期を分散するということになる。購入する予定の額を、何度かに分けて購入することで、価格の変動のリスクを避けることが可能になる。タイミングを分けておけば、万が一金価格が大きく値下がりしても、あとで安いときに買い増すことが可能になる。そうすると、購入単価は平均化されることになり、結果的に高い水準ですべての資金を利用して購入するよりも安いコストで資産を保有することができることになる。

株式投資との違い

このような購入の方法は、株式投資でも行われることがあるが、株式の場合には倒産のリスクがあり、このような購入方法は危険とされる場合がある。しかし、金は「誰の負債でもない」「無国籍通貨」と呼ばれるように、無価値になることのない実物資産である。したがって、価格が下落した場合でも、買い下がっていくことによるリスクは、他の資産に比べるときわめて低いといえる。

時間分散の応用

一方、この方法は保有する金を売却する場合にも当てはまる。できれば高値で売却したいところだが、安値を予測できないのと同様に、高値を予測することも不可能である。そうであれば、売却したいと考えた時に、時間を分散して徐々に売却するほうが、結果的に良い価格で売れる確率は上がると考えられる。金は無価値になることはないため、基本的には保有し続けるのが望ましいが、資金的に売却が必要になりそうであれば、あらかじめ時間分散の期限を考慮し、早めに徐々に売却するのが望ましいだろう。

ポイント②購入する資産を分散する

もうひとつの「購入する資産を分散する」という点も重要である。投資家の多くは、株式に資金を振り向けているだろう。しかし、資産をひとつのものに集中させると、その資産の価値が著しく低下した場合には痛手をこうむることになる。このようなことを避けるために、株式・債券・金・不動産など、値動きや価格形成の背景が異なるものに分散し、資産の保全を図るのである。これは、「資金を同じ資産に集中させない」ことを意味する。つまり、この場合の分散の意味は、「資産の分散」ということになる。これにより、ひとつの資産の価値が悪化しても、保有する資産価値全体が減少することは避けられるわけである。その意味でも、株式投資などと一緒に金にも投資することは、大いに意味があるといえる。

他の資産も一緒に長期で保有する

金価格の短期的な値上がりを狙って、資金のすべてをひとつの資産にだけつぎ込むことは避けるべきである。最悪の場合、高値で買って安値で売るということも起き得るからである。このような行為は、資産運用ではないといえる。金投資はあくまで資産保全を目的にしたものであり、かつ長期的に取り組むべきものである。この点からも、「長期保有を前提に資産分散を行う」ことが重要であり、そのためには「購入時期と資金を分散して購入する」ことが重要になってくるのである。

できれば安値で購入し、高値で売りたいものである。しかし、価格変動は避けられず、予測はできない。また、価格変動の要素である国際情勢の先行きは不透明であり、経済状況も日々変化している。一方で、将来の年金には不安があり、資産を守るだけでなく、増やしたいと考える投資家は多いだろう。とはいえ、目先の価格変動に一喜一憂していては、資産運用は継続することはできない。値動きにも慌てず、分散投資を行いながら、長期的にどっしりと構えてみておくことが肝要である。

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おまけ:あなたは欧米派?それともアジア派?

ちなみに、欧米の投資家は、価格が上昇するときに買い、下げると売る傾向がある。このような投資方法を「順張り投資」「トレンドフォロー手法」などと呼ぶことがある。これは、価格が上がるときにはさらに上がり、下げる時にはさらに下げるという考えに基づくものである。また、将来はどうなるか予測できないため、目先の値動きについていくことを優先する方法ともいえる。一方、中国やインドなどの金の主要消費国は、金価格が大きく下落し、安くなったときに買う傾向がある。そのため、金市場では彼らを「バーゲンハンター」と呼ぶことがある。つまり、価格の下落時に買い、上昇時に売るという「逆張り投資」を行う傾向があるのである。これは日本の投資家も同じである。アジア勢にはこのような傾向があることも理解しておくとよいだろう。

おわりに

このように、価格が下げても大きな買い手が後ろに控えていることを考えると、安値になって怖くなって売ることは避けたほうがよいともいえる。もともと、金は株式などのペーパー資産と異なり無価値になることはなく、不動産と異なり保有することで税金がかかることもない。その意味でも、金は長期保有に適した資産といえる。金は世界の投資家が注目し、実際に投資している重要な資産である。そのため、国際情勢の影響を受けやすい特徴がある。また、歴史的に通貨の代替との位置づけでもあることから、為替市場や金利市場の影響を受けやすい傾向がある。さらに、宝飾品やバー・コインなどの現物・投資需給もある。このような背景から、これら市場の影響を先読みして、金の購入や売却時期を予測することはできない。やはり、時間と資金を分散し、ゆっくりと買い進んでいくのがよいだろう。

【第1回】金投資を知る!金の歴史と価値

【第2回】金投資を知る!金に注目する理由

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