2024年5月4日に開催された、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」の株主総会に、マネックス証券の米国株担当者が参加しました。その様子をシリーズ化してお届けします。今回はDay2の株主総会本番の様子に加えて、バフェット氏所縁の場所を特集します。
株主総会 Day1の様子はこちら!
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの株主総会の様子(Day1)をお届け
株主総会 Day2の様子(前編)はこちら!
バフェット氏のアップル株売却理由とは?バークシャー・ハサウェイ株主総会(Day2)
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バフェット氏の発言から投資について考える
前回のレポートに続き、バフェット氏の発言をピックアップしてご紹介します。今回は日本の商社株への投資や、パラマウント株での損失、AIの脅威についての発言を取り上げます。
日本株への投資
バークシャー・ハサウェイは日本の商社株に投資していますが、今後の買い増しがあるのか、その動向についての発言が期待されました。以下は「香港と中国の企業について電気自動車のBYD以外で投資することを考えているか。」という株主からの質問に対する回答です。
日本への投資に満足していることや、後継者のアベル氏(発言内ではグレッグ)になっても継続保有されるだろうということ、次の大きな投資は米国内で行われる可能性が高いことが示唆されました。
バフェット氏「私たちの主要な投資先は常に米国です。アメリカン・エキスプレス(AXP)は世界中でビジネスを行っておりますし、コカ・コーラ(KO)もそうです。そのように世界中でビジネスを行っている会社はほとんどありません。
BYDへの投資は、5年前に行った日本への投資と同じくらい圧倒的な説得力を持つものでした。日本への投資はできる限り早く、1年かけて5つの大企業に資産の数パーセントを投資しました。
しかし、今後、米国以外で大きな投資はしないと思います。米国のグローバル企業に投資することを通して世界の経済に投資できると思うからです。それに世界の経済に関しても文化に関してもあまりよく理解できていないということもあります。
加えて、私たちは小さな国ではなく、驚くほど短期間に成長した経済大国に住んでいます。そのため何か本当に大きな投資をするときは、米国内で行う可能性が非常に高いです。
日本でのポジションについては非常にうまく行っており、それを維持するつもりです。将来的にグレッグがそれを持ち続けることになるでしょう。私たちは非常に満足しています。」
パラマウント株での損失
バフェット氏はエンターテインメント、ケーブルネットワーク等の事業を行うパラマウント・グローバル(PARA)をすべて売却し、大きな損失を出したことを明かしました。
発言の中で、投資先を選ぶ際に想像力を働かせることの重要性を強調しているように思いました。
バフェット氏「パラマウントの決定は100%私の責任です。100%私の決定であり、すべて売却しました。
私たちはかなりのお金を失いましたが、それもこのビジネスではよくあることです。
しかし、実際にパラマウントを所有することで、さらに深く考えるようになりました。
エンターテイメントビジネス、例えばスポーツや映画など、人々が余暇をどのように過ごすかという問題について、より真剣に考えるようになりました。
数年前よりも賢くなったと思います。 しかし、その知識を得るために貧しくなったとも思います。」
核兵器に並ぶAIの脅威
バフェット氏自身がAIの恐ろしさを感じる経験をされたとのことで、良い方向にも悪い方向にも進化するというAIの可能性を示唆しました。
バフェット氏「昨年、核兵器をランプの魔人に例えてお話ししましたが、最近、その魔人の恐ろしさは増すばかりで、ランプへの戻し方はわかっていません。AIも同じようなものです。AIの魔人はすでにランプから出てきています。AIの重要性は高まっているので、今後も進化していくでしょう。私たちはAIの魔人に会わなければよかったと思うかもしれませんし、素晴らしいと思うかもしれません。
AIに関して、私は最近ある経験をしました。それで少し不安になったので、お話ししましょう。私はAIが作った私の偽物の映像を見たのです。それは私であり、私の声であり、私が着ているような服を着ていたので、妻や娘には見分けがつかないほどだったと思います。そしてそれは私が言ったことのないメッセージを発していました。
もし、あなたの娘が『お金が必要だ』とか『事故にあった』と言って50,000米ドルを必要としてきたら、というような詐欺の可能性を考えてみると、詐欺は常にアメリカの社会に存在していましたが、これほど巧妙なものはありませんでした。
もし私がそういったAI詐欺に投資してしまったら、史上最大の成長産業になるかもしれませんね。」
番外編:バフェット氏に所縁のある場所にも行ってきました!
バフェット氏のご自宅
米国のニュース専門テレビチャンネルCNBCによると、バフェット氏は複数の家を所有するのではなく、オマハにある1軒の家に住んでいます。バフェット氏は1958年に3万1,500ドルを支払って購入したそうです。(※1)
バフェット氏のご自宅は地元の人からは「ダンディ」と呼ばれる閑静な住宅街にあります。ご自宅が面する通りにはバークシャー・ハサウェイのストラップを首から下げた多くの株主総会参加者が見学に来ていました。ご自宅の向かいの家は民泊のようになっているようで、株主らしき人達がパーティーをして盛り上がっていました。
バークシャー・ハサウェイ本社ビル
オマハ市内のFarnam Street 3555にあるブラックストーン・プラザというビルに入っています。
このFarnam Streetはオフィス街というわけでもなく、普通の街の通りといった印象で、静けささえ感じるほどでした。
バークシャー・ハサウェイの本社ということもあり、社名の看板やロゴなどがあるかと思ったのですが、そういったものは一切なく、住所が合っているか何度も確認したほどです。
バフェット氏が良く行っていたマクドナルド
2017年のドキュメンタリー『Becoming Warren Buffett』(制作:HBO 邦題:ウォーレン・バフェット氏になる)では、バフェット氏が毎日、オフィスまで5分のドライブの途中、マクドナルドに立ち寄る様子が取り上げられています。
株主総会前日のランチをここでいただいたのですが、日本のマクドナルドとほとんど同じでした。先ほどのドキュメンタリーのなかでバフェット氏は朝食にマクドナルドを食べる生活を54年続けているという発言がありましたが、とても真似はできないと感じました。
世界有数の投資会社バークシャー・ハサウェイのCEOであるバフェット氏の生活は想像以上に質素で、私たちとそれほど大きく異ならないものだったと思います。この質素さは、無駄を省き本質を重視する彼のバリュー投資の考えに通じているのかもしれません。
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