スピンオフとは会社の特定の事業部門又は子会社を切り出し、独立させることです。独立した会社の株式は元の会社の株主に交付されます。
自社内の特定の事業部門を切り出す場合は新設分割、子会社を切り出す場合はいわゆる現物配当により行います。
なお、本ページは日本株のスピンオフについて記載しており、外国株についてはコーポレートアクションの処理が異なります。詳細は以下のウェブサイトをご確認ください。
通常の分離では、実施会社から事業部門が1つなくなるため、理論的には切り離す事業部門の価値だけ株価が下がることとなり、実施会社の株主は損失が発生する可能性があります。
しかし、スピンオフでは分離してできた会社の株式を実施会社の株主に分配するため、理論上スピンオフ実施前後で保有する株式全体の価値が変わることはございません。
また、スピンオフ実施会社が複数の事業を営んでいる場合にスピンオフされた会社が上場される場合には、経営の独立・資本の独立により、各事業の業績の企業価値を正しく評価することが可能となります。親会社が株式の多くを保有したまま子会社を上場させる「親子上場」に比べ、分離した会社の独立性が高くなります。
株式分割や併合などと同様に、基準日が設定されます。スピンオフによる分配を受けるためには、設定された基準日時点で株式を保有している必要があります。
実施されるスピンオフの権利付最終日についてはコーポレートアクション情報をご確認ください。
税務上の「スピンオフ」に該当するものは、次の二つです。
税金の取扱いは、適格要件が設けられており、非適格株式分配と適格株式分配で扱いが異なりますのでご注意ください。
①分割型分割
自社内の特定の事業部門を分割により別法人に移転させ、同時に設立時に交付を受けるその法人の株式の全てを自社の株主に交付する方法
②株式分配
自社の完全子法人の発行済株式の全部を自社の株主に全て分配する方法
株主の取扱い | ||
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非適格株式分配 | 金銭等が交付される場合 | 旧株(現物分配法人の株式)のうち、その交付を受けた子法人株式に対応する部分の譲渡を行ったものとみなして、譲渡損益課税 |
子法人株式の価額のうち、資本金等の額を超える部分を原資とする金額を配当として、みなし配当課税 | ||
金銭等が交付されない場合 | 譲渡損益課税は繰延べ | |
みなし配当課税 | ||
適格株式分配 | 譲渡損益課税は繰延べ | |
みなし配当課税はされない |
スピンオフの中で「分割型分割」に該当するもの、および「株式分配」に該当するもので、それぞれの適格要件を満たす場合には譲渡損益や配当に対する課税が繰り延べられます。
税務上の適格要件については、スピンオフ実施企業から公表される資料等にてご確認ください。
スピンオフの対象銘柄を特定口座やNISA口座に保管している場合、スピンオフによって新たに独立して上場する銘柄もその特定口座やNISA口座に割り当てられます。
スピンオフが発表された場合、信用取引の建玉は原則決済期日が繰り上げとなります。
また、保有している代用有価証券がスピンオフの対象となった場合、新株発行による株式の希薄化によって、権利落ち日に代用評価額が下がる可能性があります。通常、新株割当の実施日は権利落ち日から2営業日目以降となるため、保証金における代用評価の割合が大きい場合、権利落ち日以降に信用保証金の維持率が著しく低下する可能性がありますのでご注意ください。