従来、銀行預金は安全かつ着実な資産形成の手段とされてきましたが、長期にわたる超低金利政策の影響により、預貯金金利はほとんど期待できない水準にとどまっていました。2024年3月に日本銀行(日銀)がマイナス金利政策を解除しましたが、預貯金金利や貸出金利の上昇幅は限られており、2025年4月現在、当面低金利環境が継続すると予想されています。そのため、依然として預貯金だけで資産を増やすことは難しいと言えるでしょう。
そこで注目されるのが、株式や債券、投資信託などの金融商品への投資です。複数の種類の金融商品を組み合わせることで、リスク分散を図りながら、預貯金よりも高いリターンを狙える可能性があります。
本記事では、資産運用の種類やメリット・デメリット、NISAやiDeCoといった税制優遇制度も紹介します。資産運用を始めるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
資産運用とは、自分のお金を預貯金や株、債券、投資信託などの金融商品へ投資することによって、効率的に資産を増やすことを目指すことです。
預貯金は元本保証で安全性は高いですが、低金利の状況では、期待されるリターンは低くなる傾向にあります。それに対し、投資は効率的に資産を増やせる可能性がある一方で、元本割れのリスクがあります。ご自身の資産状況やリスク許容度に応じて、貯蓄と投資のバランスを考えた資産運用が大切です。
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低金利時代が続く日本において、銀行やゆうちょ銀行への預貯金だけでは、資産を効率的に増やすことが難しくなっています。また、物価上昇が起こると手元資金の実質価値は目減りしてしまいます。
こうした状況下で資産を守り、着実に増やしていくためには、預貯金以外の運用方法を検討することが重要です。株式や投資信託など、金融商品への投資は物価上昇の対策としても有効です。
資産運用と似た言葉に「資産形成」があります。どちらも資産を増やすための取り組みですが、その目的と手段には明確な違いがあります。
資産形成とは、収入の一部を貯蓄や投資に回し、ゼロから資産を築き上げていくプロセスです。つまり、資産形成の目的は、将来に備えて一定の資産を作りあげることです。
一方、資産運用とは資産形成で蓄えた資金を活用し、投資を通じてさらなる資産の増加を目指すことです。
一般的に、資産形成は若年期から着手し、資産運用は一定の資産を保有するようになった中高年期に本格化するケースが多いでしょう。
資産運用は、運用方法や自身のリスク許容度を考慮しながら、長期的な視点で取り組むことが成功への鍵となります。ここでは、資産運用のメリットを詳しく見てみましょう。
資産運用のメリットは、保有資産が増加する可能性があることです。運用によって得た利益を再投資することで、複利効果が生まれ資産が加速度的に増える可能性があります。
複利効果とは、運用で得た収益を投資元本に組み入れ、その元本に対してさらに収益が発生する仕組みです。つまり、利息に利息がつくことで、資産が増えることが期待できます。
この効果は投資期間が長くなるほど顕著に表れます。特に、長期的な視点で運用できる投資信託などの商品では、複利効果を最大限に活かせるでしょう。
資産運用の大きなメリットの一つは、配当金や分配金を得られる可能性があることです。配当金、分配金とは、株価や基準価額の値動きによらず受取れる収入のことを指します。
例えば、株式投資を行った場合、投資する企業によっては配当金が受取れます。仮に配当利回りが3%の株式に100万円投資すれば、年間3万円の配当金を受取ることが可能です(税引前)。
また、投資信託の中には、運用成果に応じて分配金を支払うファンドも存在します。分配の頻度や金額はファンドによって異なり、分配金を出さない「無分配型」のファンドもあります。
このように、資産運用を通じて配当金や分配金を得られることは、将来の収入源を多様化するうえで大きな意味を持ちます。これらの収入があれば、たとえ働けなくなった場合でも一定の生活資金を確保できる可能性があるでしょう。
(配当金や分配金は投資先の経営・運用状況などにより、その金額が変動します。一定の配当金・分配金が保証されているものではございませんのでご注意ください。)
資産運用は、資産を増やせる可能性がある一方で、リスクも伴います。ここからは投資初心者が知っておくべきデメリットについて解説します。
株式や投資信託などの金融商品で資産運用を行う際、市場の価格変動により投資した元本を下回る可能性があります。例えば、100万円で購入した株式が、市場の影響で100万円未満に下落した場合、投資元本割れが発生したことになります。
一方で、預貯金は元本が保証されているため、元本割れのリスクはありません。ただしその分、期待されるリターンは低くなる傾向にあります。資産運用では、リスクとリターンのバランスを考慮し、自身の資産状況や運用目的に合わせた金融商品を選択することが重要です。
資産運用のデメリットとして、短期的な効果を得にくいことも挙げられます。短期間で高いリターンを得ようとすれば、それだけリスクも高くなる傾向があります。
リスクを抑えながら着実に資産を増やすためには、長期的な視点で資産運用を行うのがよいでしょう。資産運用で元本割れを起こすリスクを軽減するには、長期投資を心掛けて複利効果を活かすことが重要です。
資産運用には預金や株式投資、債券投資など多様な方法があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。自身のリスク許容度を考慮しながら、最適な運用方法を見つけましょう。
預貯金 | 株式投資 | 債券投資 | 投資信託 | 不動産投資 | |
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メリット |
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デメリット |
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預貯金は、銀行や信用金庫などの金融機関に資金を預け入れ、利息を得る資産運用の一種です。普通預金や定期預金、積立式定期預金などの商品の中から、自身のニーズに合ったものを選択します。
預貯金(一般預金等)のメリットは、必要なときにすぐ引出せる高い流動性と、預金保険制度による1,000万円までの元本保証です。デメリットとしては、低金利の環境下では利息による資産のわずかな増加しか望めないことや、インフレリスクによって資金の実質的価値が下がる可能性があります。また、1,000万円を超える部分については、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われるため、一部支払われない可能性があることも挙げられます。
外貨預金は、銀行や証券会社で外貨預金口座を開設し、保有する円を米ドルやユーロなどの外貨に交換して預け入れます。
外貨預金の主なメリットは、日本よりも高い金利の国の通貨で預金すれば、より多くの利息収入を得られる可能性があることです。また、為替レートが円安に動けば為替差益を得られる可能性もあります。一方で、外貨への交換時や払い戻し時に為替手数料がかかり、為替レートが円高方向に動いた場合には為替差損が発生するリスクがあります。
また、外貨預金は預金保険制度の対象外であるため、金融機関が破綻すると預金が保護されない点には注意が必要です。
株式投資とは、企業が資金調達のために発行する株式を購入し、株価の変動によるキャピタルゲインや配当金によるインカムゲインを狙う運用方法です。また、企業によっては株主優待を受取れるケースもあります。
株式投資の主なメリットとしては、企業の成長や株式市場の上昇局面で大きな利益を得られる可能性がある点が挙げられます。また、配当金や株主優待などを受取れる可能性がある点も魅力です。一方で、企業の業績悪化や市場全体の株価下落、経済情勢の変化などによって株価が下落し、損失を被るリスクがあります。投資先の企業が倒産した場合には株式の価値がゼロになってしまうリスクがある点にも注意しましょう。
株式投資では、企業分析や市場動向の把握など、一定の知識と情報収集能力が求められます。
投資信託は投資家から集めた資金を運用の専門家が、株式や債券、不動産などのさまざまな資産に投資・運用する金融商品です。運用成果は、投資家に分配されます。
投資信託は少額から購入することができ、幅広い資産に間接的に投資が可能です。また、投資信託は運用のプロに資産運用を委ねられるため、投資初心者でも始めやすい特徴があります。一方で、購入時手数料(販売会社によって異なる)や信託報酬などのコストがかかること、投資対象の価格変動により損失が発生するリスクがある点には注意が必要です。
なお、マネックス証券では、すべての投資信託の購入時申込手数料が無料(ノーロード)で、100円から購入することができます。
不動産投資は、アパートやマンションなどの賃貸用不動産を購入し、賃借人から得られる家賃収入や不動産価値の上昇によるキャピタルゲインを目的とする資産運用です。
主なメリットとして、毎月安定した家賃収入を得られる点や物件の価値が上昇したときに売却すると値上がり益を得られる点です。また、相続税の節税対策としても効果があります。しかし、入居者が見つからない空室リスクや自然災害リスク、金利上昇により返済負担が上昇するリスクがある点には注意が必要です。
不動産投資には一定の初期費用と知識が必要とされるため、他の資産運用と比べると初心者にはハードルが高いと言えるでしょう。
債券は国や地方自治体、企業などが資金調達のために発行する有価証券の一種です。投資家は債券を購入することで発行体に資金を貸し付け、その見返りとして利息を受取ります。
債券投資の魅力は、満期時に元本またはあらかじめ約束した金額を受取れること、保有期間中は定期的に利子を得られることです。一方で、満期前に途中売却する時には価格変動により購入金額を下回る可能性があること、また債券の発行体の信用リスクにより利払いや償還金を受取れない可能性があることには注意が必要です。
資産運用を始めるにあたり、初心者の方におすすめなのが、税制優遇制度のNISAとiDeCoです。これらの制度を活用することで、運用益に対する税金を軽減または免除できます。
NISAとは「少額投資非課税制度」の略称です。NISAを活用すると、投資信託や株式などの売買で得た利益や配当金、分配金に対する税金が非課税になります。通常の投資では、利益に対して20.315%の税金がかかるため、NISAを活用すれば効率よく資産形成ができるでしょう。
NISAには、「成長投資枠と、つみたて投資枠」の2種類があり、両方の枠を併用可能です。
NISAは、口座開設年の1月1日における年齢が18歳以上であれば利用可能で、年間の非課税投資枠は360万円(うち成長投資枠は240万円)、非課税保有限度額は1,800万円です(うち成長投資枠は1,200万円)。
NISAをはじめるには
NISAお取引には、マネックス証券の「証券総合取引口座」の開設が必要です。
NISAのお取引は、NISA口座を開設するとご利用いただけます。
金融機関変更・再開設をしたいお客様
iDeCoは、自らが掛金を拠出して老後資金を準備する私的年金制度の1つです。加入者が毎月一定額の掛金を拠出し、自ら選択した商品で運用を行い、原則60歳以降に受取れます。
iDeCoの大きな特徴は、税制上の優遇措置が受けられる点です。具体的には、以下の3つのメリットがあります。
ただし、iDeCoでは運用商品によっては元本割れのリスクがあります。また、原則60歳までは資金を引出せない点にも留意が必要です。
マネックス証券に口座をお持ちの方
マネックス証券に口座をお持ちでない方
資産運用に興味があっても、失敗への不安から踏み出せない方は少なくありません。しかし、資産運用のポイントを押さえることで、リスクを最小限に抑えながら効果的に資産を増やすことができます。
資産運用をスタートさせる際は、まず運用の目的と目標を明確にしましょう。老後資金を貯める、子どもの教育資金を準備するなど、目的によって必要な金額や運用期間は異なります。
投資目的と目標金額を具体的に設定することで、自分自身のリスク許容度を把握し、それに合った運用方法や金融商品を選択しやすくなります。また、明確な目標は、長期的に資産運用を継続するモチベーションを維持するうえで有効です。
資産運用を行ううえで、リターンとリスクの関係性を理解することは重要です。一般的に高いリターンを求めるほど、それに伴うリスクも大きくなります。一方、リスクを過度に恐れて利回りの低い商品を選んでしまうと、十分なリターンを得られない可能性があります。
資産運用を始める際は、自分自身のリスク許容度にあった運用方法や金融商品を選び、リスクとリターンのバランスを適切に保ちながら取り組む必要があります。
資産運用を行う際、長期的な視点を持つことが重要です。短期的な運用では元本割れしてしまう可能性が高まるうえに、複利効果を十分に享受できません。
複利効果を活かすためには、長期的な運用が不可欠です。長期的に運用を継続することで元本が雪だるま式に増加するため、短期的な値動きに惑わされることなく、長期的に資産運用と向き合いましょう。
分散投資とは、投資する商品や購入タイミング、地域を多様化して元本割れリスクを抑える方法です。例えば、株式だけでなく債券にも投資したり、国内資産だけでなく海外資産にも投資したりすれば分散投資を実践できます。また、投資タイミングを分散すれば、それぞれの価格変動リスクも分散することが可能です。
仮に株価が下落したとしても、別の金融商品の価値が上昇すれば運用資産全体としての損失を軽減できます。あらゆる事態を想定して分散投資を行い、リスクを抑制しましょう。
資産運用は、将来の夢や目標の実現に向けて、手元の資金を効果的に増やすための重要な手段です。預貯金や株式、債券などさまざまな種類の運用方法があり、それぞれメリットやデメリットが異なります。自分自身の運用目的や資金状況、リスク許容度を考慮して最適な運用方法を選びましょう。
初心者の方は、少額から資産運用を始めるとよいでしょう。NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用することをおすすめします。
また、分散投資を行い、経済や市場の動向をチェックしながら長期的な視点で取り組むことも資産を増やすうえで重要です。資産運用に関する知識を身につけて自分に合った方法を実践し、より豊かな未来を築きましょう。
株式や投資信託、債券などに投資をするには、証券総合取引口座の開設が必要になります。
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