大きな節税メリット

退職所得は、所得税と住民税の対象となっており、以下の手順で課税額を計算することができます。

1. 退職給付控除額を計算する。

以下の条件で一時金と退職金を、同じ年に受け取るとします。

iDeCo	退職金
加入年数25年	勤続年数20年 （iDeCo加入期間と全て重複）
受取総額1,500万円	受取総額1,000万円

「加入年数 25年 ＞ 勤続年数 20年」ですので、加入年数の25年をベースに控除額を計算します。
今回のケースでは、加入年数と勤続年数が全期間重複していますので、上記の25年に加算する年数はありません。
これを式に当てはめると

800万円 ＋ 70万円 ×（加入年数 25年 － 20年）＝ 退職所得控除 1,150万円

となり、iDeCo資産と退職金 の合計額2,500万円のうち、1,150万円までが非課税となります。

2. 課税の基準額を計算する。

次に以下の計算で、課税される所得金額を求めます。

（（一時金 ＋ 退職金）－ 退職所得控除）× 50％ ＝ 課税の基準額

今回のケースでは、以下のようになります。

（（1,500万円 ＋ 1,000万円）－ 1,150万円）× 50％ ＝ 課税の基準額 675万円

3. 基準額から所得税と住民税を計算する。

所得税は、以下の計算で求められます。

課税の基準額 × 税率 － 控除額＝ 所得税

※計算に用いる税率と控除額は、下表のとおり、基準額によって異なります。

課税の基準額	税率	控除額
195万円以下	5％	0円
195万円超～330万円以下	10％	97,500円
330万円超～695万円以下	20％	427,500円
695万円超～900万円以下	23％	636,000円
900万円超～1,800万円以下	33％	1,536,000円
1,800万円超～4,000万円以下	40％	2,796,000円
4,000万円超	45％	4,796,000円

今回のケースでは所得税は、このようになります。

675万円 × 20％ － 427,500円＝ 所得税 922,500円

住民税は、基準額の大小に関わらず、基準額の一律10％となります。

675万円 × 10％ ＝ 住民税 675,000円

年金は雑所得に分類されるため、公的年金控除を差し引いた金額に、所得税と復興特別所得税の合計5.105％が課税され、その計算方法は以下のようになります。

※計算に用いる税率と控除額は、下表のとおり、基準額によって異なります。

注1:令和3年分の所得税については、65歳未満の方とは昭和32年1月2日以後に生まれた方、65歳以上の方とは昭和32年1月1日以前に生まれた方になります。

注2:公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1,000万円以下である場合の表です。

出所：「国税庁パンフレット「暮らしの税情報」（令和3年度版）高齢者と税（年金と税）」よりマネックス証券にて作成。

※確定申告にご利用の際は、お客様ご自身で国税庁のウェブサイト等にてご確認ください。

※「公的年金等の収入」とは、以下に該当する収入のことをいいます。

1. 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
2. 過去の勤務により会社などから支払われる年金
3. 外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で、1に掲げる法律の規定による社会保険または共済制度に類するもの

例えば、67歳でiDeCoからの年金と公的年金を合わせて、年間350万円の収入がある場合の税金は以下のようになります。